2011-09-08

Stackridge / Friendliness


スタックリッジのセカンドアルバム、1972年作。
ファースト制作の際に経費がかかりすぎたため、このアルバムは低予算を強いられたそうなのだけれど、全然こじんまりとした感じはないですね。
アレンジがこなれてきたこともあってか、音楽的な表現の幅はさらに広がっているにもかかわらず、全体としてのまとまりはファーストより良くなっている印象。本当、このフィドルやフルートはどんなタイプの曲にも合うんじゃないか、とすら思えます。

さらにサウンド面では、ドラムがタイトで迫力あるものになっていて。バンドのテーマ曲のような英国フォークインスト "Lummy Days" での重量感や、長尺ナンバー "Syracuse The Elephant" で聴ける雷鳴のようなフィルインなどに顕著なのだけれど、複雑な要素・構成をもつ曲でも頭でっかちにならず、スケール感と肉体性が感じられる演奏。

一方で、いかにも英国王道というポップソングにも磨きがかかり、特にバンドのメロウな面を引き受けているジェームス・ウォーレンの持ち味はこの時点で既に完成しているのではないかしら。ファルセットを使ったハーモニーはビートルズの「Abbey Road」B面を思わせる麗しさだし、"Amazingly Agnes" という曲では、時代を考えるとかなりしっかりとレゲエに取り組んでいるのに仕上がりはモダンポップという懐の深さで。

このバンドらしい奥行きと、ちょっと捻ったポップセンスのバランスが凄くいい。個人的にも彼らのアルバムではこれが一番好きかな。

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