2011-10-11

James Brown / The Singles Vol.11: 1979-1981


Hip-O Selectからのジェイムズ・ブラウンのシングル集もいよいよ打ち止めのようであります。勿論JBはこれ以降もさまざまなレーベルからレコードをリリースしてはいたのだけれど、ユニヴァーサルが権利を持つのはここまで、ということですね。

このシリーズの何が良かったか。まずは音ですね。
今までのJBのCDでは一番音質が良かったんでは。
それからアルバム未収録・初CD化の曲も多く、さらにはリリースが計画されたけれどお蔵入りになった未発表・別ヴァージョンなどのレアトラックが混じっていたり。

そしてJBのマネージメントをしていたアラン・リーズによる詳細なライナーが素晴らしく、これだけでもちょっとした値打ちがあるもの。当時の資料を調べ、元バンドメンバーやレコーディング・スタッフたちのコメントを盛り込んだそれは、個人的な感情や感想でなく、まずは事実に語らせるというものだから読み応え満点。
エピソードも満載であって、"It's A Man's Man's Man's World" のドラマーとしてはバーナード・パーディがクレジットされているが、実際のOKテイクではジャボ・スタークスが叩いている、とかいう話も興味深いではないか。
作曲においてナット・ジョーンズやピーウィー・エリス、フレッド・ウェズリーたちが果たした役割の大きさも再認識できました。

JBは所謂アルバムアーティストではなかった。それは時代的な限界もあるのだけれど、音楽スタイルのイノヴェイションのスパンがかなり短かったということも大きい。それと何しろ仕事量が多い。ツアー先の土地でもスタジオを押さえていて、ライヴを終えた後にレコーディングを行なうのは普通であったし、自分のバンドがオフのときにもセッションマンたちとともにスタジオ入りしていたのだ。アルバム単位で提示することなど初めから眼中にないのだな。この「The Singles」のシリーズを聴いていると絶えず新しいアイディアが生まれ、数ヶ月単位でダイナミックに変化していく様子が追体験できる。

さて、この第11弾ですが。2枚組の一枚目はポリドール在籍時最後のシングルをまとめたもので、これまでと同じなんですが、二枚目が12インチヴァージョン集になっていて。ネタ切れなのを無理に2CDに合わせた、という感は否めません。ただ、JBの曲は長尺のものも多くて、それらはシングルでは両面にまたがって収録されていました。だから12インチというフォーマットはそもそもJB向きであった、と強弁できなくないか、な?

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