2011-10-10

The Critters / Awake In A Dream: The Project 3 Recordings


クリッターズがイノック・ライトのプロジェクト3に残した音源がCD化されました。セカンド、サードアルバム全曲に加えシングルオンリーの一曲が収録されていて、コンプリート版になるのかな。

1968年のアルバム「Touch'n Go With The Critters」は長らくリイシューが待ち望まれていたのでは。
キャップレーベル時代のフォークロックと比べるとソフトで落ち着いた感触ですが、ぐっとサウンドは豊かになりポップスとしてアレンジの手が込んだものになっています。特にコーラスには力がこもっていて、曲によってビーチ・ボーイズぽかったり、ジャズコーラス風であったりの凝りようが楽しい。
楽曲の出来の方も、飛び抜けてキャッチーなものは無いけれどアルバム一枚通してどれもしっかりと作られていて、メロウさが心地いいです。
サンシャインポップのファンにならかなり自信を持ってお勧め。

翌年の「Critters」になると、それまでスタジオミュージシャンに演奏を任せていたのを自分たちでやってみたい、と言い出して。ロックバンドらしさが強いサウンドになっていますがそんなに上手くもなく、プロコル・ハルムの出来損ないといったところ。アイディアをしっかり支えるだけの力がバンドに不足しているように思うし、ボーカルの線の細さが物足りなくなってしまう。良いメロディがところどころにあるだけに惜しい。


まあ、「Touch'n Go With~」がCD化されただけでも収穫大でありますね。
ところで、ブックレットを読んで知ったのだけど、プロジェクト3というレーベルは音楽的には好きなようにやらせてくれたが、ポップレコードを売るノウハウが無く、プロモーションも全然してくれなかったとか。なるほど、そういう社風だからフリー・デザインが大してセールスが無くとも、あれだけのアルバムを作れたのかなあ。

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