2011-10-27

Phil Spector presents The Philles Album Collection


来たぞコラ。フィレスのアルバム6タイトルを再現した箱だ。4ヶ月ほど遅れたが、当初アナウンスに無かったシングルB面曲を収録したコンピレーションが一枚増えているから納得しましょう。ライナーノーツはその界隈では知られたミック・パトリックが書いています。


まず言っておくとこれは熱心なファン向けのリリースであって、間違ってもこれでスペクター入門しようとかは思わないでね。
アルバム間の曲のダブリがあって。特にクリスタルズはエライことになっていますよ。
さらには、シングルB面曲のコンピなんだけど。確かに殆どの曲は初デジタル化であるが、フィレスのB面なんて聴いてそう面白いものではないのね、インストのジャムセッションばっかだし。そもそもスペクターにとってシングルA面こそが大事なのであって、下手にB面にいい曲を入れてそちらをラジオでかけられることは避けたかったのだな。
あと、細かい事をいうとクリスタルズのファースト「Twist Uptown」(1962年)頃はまだニューヨーク制作であり、独特のサウンドの完成には至っておらず、ファン以外の人にとっては普通の古臭いオールディーズじゃん、と思えるかも。後にLAにおいて実現されるヴィジョンの萌芽を見て取るという楽しみはあるのだけれど。
ヒット曲の類はおおかた2月に出た4種のベスト盤に入っているし、特に曲数が多いわけでもない今回のリリースは、オリジナルに準じた仕様ということに意義を見出せない人にはキツイかもしれない。
それでもボブ・B・ソックス&ブルー・ジーンズがまとめて聴けるなんて素晴らしいではないか(と言って同意できないひとはやめといた方がいいかな)。

なお、音の方はすっきりクリアで聴き易いのだが、それってウォール・オブ・サウンドとしてどうなの、という気はしないではない。アブコの「Back To Mono」ボックスに馴染んでしまったからかもしれないけれど。


そんなことはともかく。
ロネッツ唯一のアルバム「Presenting The Fabulous Ronettes Featuring Veronica」は1964年リリース。フィル・スペクターのピークを記録した一枚でしょう。シングルの寄せ集めのようなところがあるので、内容は当然のように良いです。ビートルズ上陸以前のアメリカン・ポップ、その集大成では、なんて口走ってしまいそうになる、とんでもない充実ぶり。
いやいや本当に楽しいよ。

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