2012-09-17

The Clash / London Calling


僕にとってパンク、というのは他と違うことをやることであって、つまりニューヨークのそれ。みな音楽的には見事にバラバラでありました。対してロンドンパンクというのはつまるところは下手糞なロックンロールのこと。
クラッシュというバンドはアルバムを追うごとに達者になっていき、当然のようにパンクではなくなっていった、なんていうと怒る人はいるだろうな。どうでもいいが。
ドラマーこそが肝だ、とつくづく思う。

「London Calling」は1979年リリースの三枚目。
タイトル曲は今となれば結構、野暮ったく思えるのだが、他は数曲のカバーも含め、みんないい。アナログ二枚組のサイズを弛み無いナンバーで埋め尽くしたという点でこのアルバムは、ストーンズの「Exile On The Main Street」に肩を並べるものなのでは。
アレンジは意外な振り幅の大きさに楽しくなってくるもので、スカやレゲエのような曲調だけでなく、ブラックミュージック色濃いもの、さらにはロカビリーや'60年代ガールポップ風のものまである。そして、そういった雑駁さがキズになっておらず、どれを取ってもクラッシュらしさ、というものが感じられる仕上がりだ。
また、ストレートなロックンロールでもシャープでなおかつ微妙なニュアンスがあって、懐の深さを感じるようになってきている。

ルーツに対する愛情とバンドの持ち味であるソリッドさが見事に結びつき、躍動感が伝わってくるこのアルバム。クラッシュのようなバンドにはふさわしくない言葉かもしれないが、ロックンロールに新たな多義性をもたらしたクラシックだ。
とはいえ、秀逸なカバーデザインはそもそもこの作品がロックンロールを終わらせるべく企てられたことに呼応しているらしいのだが。そう考えるならクラッシュはやはりパンクだったか。


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