2012-09-08
The Mamas & The Papas / People Like Us
ママズ&パパズが一度解散した後、ダンヒルとの間で残っていた契約を消化するため作られたアルバムで、リリースは1971年。
昔はこの作品はあまり好きではなかった。なんだか張りがなくて、かったるいと思っていたのだ。
最近、英Now Soundsからリマスター盤が出たので、聴き直してみた。すると・・・。
一曲目の "People Like Us" を聴いて、おお、こんなに格好よかったっけ、と思ったのだね。それ以降の曲も、いいグルーヴのものが続く。これはもしかしたら凄いアルバムだったのか。
しかし、最後まで聴き進めていくうち、う~ん、と考えてしまった。
問題はソロボーカルですね。キャス・エリオットがあまり目立たず、かわりに多くの曲ではミシェル・フィリップスがリードを取っているのですが、個々の曲として聴くにはいいものの、アルバムを通して持たせるにははっきり言って、弱い。どんなタイプの曲でもこなせる、といったシンガーではないのだ。また、どういうわけかデニー・ドハーティもここでは、ただ優しげなだけだ。そのせいで、"Pearl" という曲でママ・キャスのしっかりしたリードが聴こえると、ほっとする。
ハーモニーボーカルの部分では何の問題も無いのだけれどね。
とはいえ、昔思っていたほど悪いアルバムではないという気がしたのは、リマスター効果かこちらの趣味が変化したからか。
サウンドはとてもいいのです。かつてのフォークロックとはまるっきり違い、都会的でメロウなR&B色濃いもので。デヴィッド・T・ウォーカー、ジョー・サンプル、エド・グリーン、ボビー・ホールらによる演奏には文句無し。
全てジョン・フィリップスの手による楽曲のほうも、抜けの良いものはありませんがそこそこ悪くない出来だと思う。
サンシャインポップというより曇り空、翳りあるポップスで。ソフト&メロウなものが好きな人なら気に入るんじゃないでしょうか。あるいは'70年代前半の、ソウルの影響を受けたシンガーソングライター作品の先駆け、として扱うのが正しいのかもしれません。
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