2013-04-22

Shuggie Otis / Inspiration Information


シュギー・オーティスが1974年に発表したサードアルバム「Inspiration Information」の新装版が出ました。2枚組になっていて、ディスク1は「Inspiration~」本編に未発表トラック四曲が追加、ディスク2は「Wings Of Love」と題され、1975年から2000年に録られた音源が収められています。


「Inspiration Information」は管弦以外、リズムセクションを全てシュギー・オーティスがひとりで演奏したアルバムで、密室性が強く、とてもメロウなニューソウルといったところ。
この作品の大きな魅力のひとつは音の感触そのものにあります。ミニマルな感覚と華麗なサウンドのバランスが絶妙で、久しぶりに繰り返し聴きましたが、楽曲のアイディアが当たり前のものになることがあっても、この質感はなかなか古びることはないのでは、と改めて思いました。

アルバム前半、ファンク面においてはスライ&ザ・ファミリー・ストーンからの影響が非常に大きいのだけれど、生々しさや尖った部分は希薄で、甘く柔らか。かえって線の細いボーカルとの相性はそのほうがいい、という感じはしますな。実際にスライ・ストーンと同じリズムボックスを使っていたそうなんですが、スライの場合、それによって逆に肉体性が露わになる効果を生んでいたのに対して、こちらは非常に現代的なループ感が心地良さに繋がっているよう。
後半にはインスト曲が並んでいて。管弦が美しいラウンジ風のもの、アンビエント的な曲などさまざまですが、穏やかで、あまり黒さを感じさせない仕上がり。

なお、この作品が以前デヴィッド・バーンのレーベルからCD化された際にはクラブ世代向けなのか、ベースが非常に強調されていましたが、今回のリマスターではずっと自然な響きのものになっています。
また、今回付けられたボーナストラックでは唄とギターの絡み方や、サイケ感覚にはジミ・ヘンドリックスからの影響が見え隠れしますが、しなやかな感覚が先立つもので、悪くない。



ディスク2、「Wings Of Love」は「Inspiration Information」以降におけるシュギー・オーティスの軌跡というわけで、こちらも「Inspiration~」同様、基本的に一人で演奏されたものばかりですが、音像には奥行きや空間があまり感じられなく、やや低予算な感じ。

'70年代後半の録音はスティーヴィー・ワンダーの影響が感じられますな。ゴツゴツしたファンクが多い中、スペーシーなバックにオーソドックスなコーラスの "Walin' Down The Country" が異色で面白い。
制作時期が新しい曲ほど演奏におけるギターの比重が大きいのですが、同時にリズムからは弾力が失われて普通のロックバンドに近いものになっているようであります。ドラマティックなサウンドをバックにするとボーカルの弱さが目立つのは否めないな。

全体として、'80年までの曲は結構いいと思いましたが、それより後のものは分厚いシンセを使った音作りがいまいち好みではない、という単に自分の好みを再確認したような・・・。

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