2013-08-24

Darrell Banks / I'm The One Who Loves You


英Kentより、ダレル・バンクスがスタックス傘下のヴォルトに残した音源をまとめたものが出ました。

通算二枚目にしてヴォルトでの唯一のアルバム「Here To Stay」は1969年にリリース。制作はアトコから出されたファーストアルバム「Darrell Banks Is Here!」(1967年)と同様、ドン・デイヴィスが手がけています。
録音はメンフィスとデトロイトで行なわれていて、スロウはもう完全なサザンソウルですね。ディープかつ余裕ある唄いっぷりが実に頼もしい。ミディアムでも前作「~Is Here!」に濃厚であったモータウンの影響は薄れ、より力強さを感じる仕上がりです。一部、1969年にしてはスタイルが古く感じられる曲もあるのですが、これは過去に他のシンガー用で作ったオケをドン・デイヴィスが使い廻していたもののよう。
ポップなノーザンでの乗りの良さなら「~Is Here!」に分があると思いますが、こちら「Here To Stay」の方が安定感があり伸びやかな歌唱が聴けると思います。

さて、今回のリイシューの目玉は未発表曲です。スティーヴ・クロッパーのプロデュースでもう一枚アルバムを作る予定だったらしく、そのデモが4曲。これが結構良いのですね。管弦は入っていないのだけれど、演奏・ボーカルともしっかりしたものであり、ベーシック・トラックとしてはほぼ完成しているよう。
特に気に入ったのが "Love Is Not An Easy Thing" というスロウ。曲としてもスケールの大きさが感じられるし、ラフ目のミックスも相まって、スタジオライヴを聴いているような生々しさがたまらない。
また、同時期のジョニー・テイラーと歩調を合わせたようにファンキーな "Mama Give Me Some Water" も、このシンガーの新たな面を見るようで興味深いな。

残りはシングル曲/ミックスが4トラック。そのうち "No One Blinder (Than A Man Who Won't See)" がアルバムに収録されたものとはかなり違うつくりですね。後からパーカッションを加えた上、イントロは短く、テンポも早く編集されていて、シングル向けというか、より締まったものになっていますよ。

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