2013-10-13
Roy Wood / Boulders
ロイ・ウッドはムーヴ時代からいくつかレコードジャケットのイラストを自ら手がけていますが、それらの多くはけばけばしくて、あまり趣味がいいとは思えないのが正直なところ。けれど、この「Boulders」のジャケットは自画像に色を塗りかけて仕上げないままおいた、という風です。そして音楽の方も、あえて作り込まずに自然な雰囲気を残したようでありますね。
ソロ名義では初となるこのアルバムは、管弦まで含めた(ほぼ)ワンマンレコーディングによる制作。いかにもロイ・ウッドらしい変な試みは随所に見られるものの、まずは唄を聴かせるものになっているのが美点でしょう。
リリースされたのは1973年なのだが、実際には'70年に完成していたそうで、このひとの持つコテコテの部分やドラマティックな路線はムーヴでの活動の方に注入されていたのであろうか。アコースティックギターの使用が目立つ風通しのいいサウンドで、メロディの良さも一段と際立っています。
ロイ・ウッドというひとはいろいろと妙なことをやりますが、ソングライターとしては実にまっとうな曲を書く。意表を付くような転調やら、変わった音使いがあるわけではない、王道のポップソングという感じ。そして、それがユニークなアレンジとうまく結びついたときにはとてもいいものになるようだ。
このアルバムだと、"Wake Up" ではバケツに張った水をパーカッションに使っていて、普通なら冗談っぽくなってしまいそうなところが、なんだか心に染み入るような出来であります。
あまり方向性を絞らずに作ったのが吉と出たような。良い曲が揃っていて、それを素直に楽しめる作品ですな。
個人的なベストは臆面もなくセンチメンタルな "Dear Elaine"。 ジェフ・リンとの共通した資質も強く感じます。
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