2014-03-22

J.J. Jackson / J.J. Jackson (eponymous title)


1950年代末から活動していたらしいニューヨーク出身のシンガー、J.J.ジャクソン。裏方としてアレンジや作曲の仕事もしていたそうなのですが、これは1967年になってようやく出された自身のファーストアルバム。プロデュースはルー・フーターマンという、ブラザー・ジャック・マクダフなんかも手がけているひとです。ジャクソンもまた、ジャック・マクダフのアレンジをしたことがあるようで、その関係でしょうね。
このシンガー、見かけは相当いかついものの、声は良いですよ。ウィルソン・ピケットに少し似ているかな。巨体を利したような豪快で迫力あるボーカルを聴かせてくれます。
録音は英国で行なわれたようで、そう知って聴いてみると、米国産ソウルと比べ音像に奥行きや広がりが乏しいような気がしなくもない。その一方で、ビートグループ的な密度が感じられるような。

収録されている曲にはスタックスソウルあたりを下敷きにしたようなものが多いですが、ポップな味付けが強い曲のうちにはやや時代を感じるものもあって。今聴いて良いのは所謂ノーザン・ダンサーになりますね。
中でも出来がひとつ抜けているのは、やはりシングルヒットの "But It's Alright" で。シンプルであるけれど格好いいギターリフを中心に据えたすっきりとしたバックに、八分目くらいの力で余裕を感じさせるボーカルが実に決まっています。
また、"I Dig Girls" はダイク&ブレイザーズを思わせるアップで、剥き出しのドラムが気持ちいいし、プリティ・シングズが演った曲の作者ヴァージョン "Come See Me (I’m Your Man)" では抑えた唄い出しから、サビ部分に至って本領発揮の爆発が堪えられない。

スロウもありますが、こちらもやはり熱っぽいボーカルであることには変わりありません。カントリー風味の "Try Me" は唄い回しがどことなくオーティス・レディングっぽいし、"A Change Is Gonna Come" ではサム・クック節も聴かせるのですが、どちらも曲が進むに連れて荒々しさが前面に出てくるものです。

また、アナログでは各面の真ん中にあたるところにそれぞれインストが配置されていて。これらではジャクソンはオルガンを演奏しているそうなのですが、熱唱のボーカル曲ばかりの中で、アルバムのチャンジ・オブ・ペースとして巧く機能しています。ここら辺り、裏方として培ったセンスが生きているようでありますね。

0 件のコメント:

コメントを投稿