2014-04-19

中町信「天啓の殺意」


中町信の作品は大昔に幾つか読んではいる。綾辻行人や折原一に影響を与えた作家として名前が挙がっていたからだ。けれど、その時の印象はあまりいいものではない。書かれた時代を考えれば意欲的なものかも知れないが(当時、既に)乗り越えられてしまっている、仕掛けが見え過ぎて興醒めしてしまう、といったところでありました。
この本も出た時に買ってから9年も寝かせていたわけだ。


ある推理作家が犯人当ての問題編の原稿だけを残して消息を絶ってしまう。その原稿に書かれていたのは現実に起こりながら未解決である殺人事件であった。推理作家は真相を探り当てたために、自らも危険に巻き込まれてしまったのだろうか。原稿を託された編集者は独自に調査を始めたのだが、さらなる事件が重なっていき・・・・・・。

期待せずに読んだのが良かったかもしれないが、これは面白かった。
作中作が使われていれば、当然ミステリファンとしては身構えてしまうのは仕方の無いところ。しかし、そういった予想も織り込み済み、といった巧妙さが良い。(解説によれば)作者のお気に入りであったという、クリスティっぽさも感じます。
解決編にはご都合主義な部分が目立つものの、そのあこぎさも逆に嬉しい。ただただ読者を騙すことを目的としているわけで、清々しさすら感じる。

また、語り口こそ地味であるが、プロット展開は意表を突くもので。大ネタだけでなく、その周辺の誤導なども丁寧に構築されたミステリでありました。
偉大なるワンパターン、けれど嵌ればデカイ、ということだな。

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