2014-04-04
The Grass Roots / The Complete Original Dunhill/ABC Hit Singles
米Real Gone Musicによる、グラス・ルーツのシングル集。
タイトルに「Complete」で「Hit」とあるように、シングル曲のうちチャート・インしたものを網羅しました、ということらしい。
実はこれ、結構な労作のよう。全てオリジナル・シングル・ヴァージョンで固められているのですよ。モノラルです。
以前にも書いたけれど、ダンヒルはセッションテープやモノマスターを'70年代に廃棄してしまっているとの話で。今回使用された音源は、海外でのリリース用に送られたサブマスターか、それが利用出来ない場合はアナログレコードから起したそうであります。
なるほど聴いていると、これは盤起しかな? というような歪みっぽいところが感じられるものもありますが、殆どの曲は力強く、パンチの効いた(と書くと死語なのだが、英語でいう "punchy" ってやつです)仕上がりで、個人的には満足です。
実をいうと僕は、グラス・ルーツについてはP.F.スローンが制作に関わっていた頃のフォークロックが好きなのであって、それより後のポップソウル路線のものには、あまり関心はないのです。今回、改めて聴いてみても、その思いは変わらなかったな。良い曲もあるけれども、時代が進むにつれてサウンドがもっさりしてきているような気がして。まあ、ここら辺りは好みの問題ですね。
ところで、このCDのブックレットにはスローンの相方であったスティーヴ・バリーのコメントがふんだんに盛り込まれていて、なかなか読みでがあって面白い。スローンがダンヒルを去って、バンドのオリジナル曲を多く入れたアルバムもセールスには結びつかずといった難しい時期に、バリーはグラス・ルーツのメンバーたちとミーティングを行なったという。そうして最後には「君たちはポップグループであって、ザ・バンドのような存在ではない」という結論になり、外部のソングライターによるヒット性のありそうな楽曲を演っていく、という方針が決まったらしい。
しかし、今更なんだが、このヒット曲集の流れで聴くと、やはり "Let's Live For Today" が一番輝いているように感じられるな(非シングル曲なら "Is It Any Wonder" なんて凄く好みのがありますが)。
この曲はスローン&バリーが書いたものではないけれど、イントロのギターのウェットな響きからしてフィル・スローンのセンスがはっきりと感じられます。また、ドラマティックな展開には、うん、ヒット・レコードとはこういうものだよな、と納得。
あれだな、もう古い音楽だけでいいな、僕は。消費税も上がったしね。
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