2014-11-15

George Harrison / Dark Horse


「Dark Horse」(1974年)のリマスター盤、日米アマゾンのカスタマー・レヴューではあまり評判がよろしくないようだ。実際に古いCDの方がいいのだろうか。ちょっと聴き比べてみたのだけれど、なるほど旧盤のほうがクリアで、分離が良いですね。
今回のアップル・ボックス、全般に中低域がしっかりと出ているようであって。「Dark Horse」でもドラムの迫力は向上している。ただしその分、上ものがやや引っ込んだ印象かな。
にもかかわらず、個人的にはリマスター盤のほうが落ち着いて聴けるんだよなあ。どっちのマスタリングが良い・悪いの話ではなくて、好みの問題なんだけれど。比較すると旧盤はひとつひとつの音が軽い気がするのね。


この「Dark Horse」というアルバムは、飛び抜けたような曲はないものの、逆につまらないものも見当たらず、全体に結構いい曲が揃っている、という感じがします。
サウンド面ではソウル色がぐっと強くなっていて。それに最も貢献しているのはトム・スコットによるホーン・アレンジ。また、4曲で参加しているビリー・プレストンの鍵盤も印象的であります。

よく言われるように、ジョージの歌声が荒れているのは確かで。シングルになった "Ding Dong, Ding Dong" なんか、明らかにきらびやかなサウンドとは合っていない。また、"Simply Shady" や "Bye Bye, Love" ではキーの高いボーカルが線が細いを通り越し、なんだかケロケロしていて、もしかしてテープスピードを操作してピッチを上げているんじゃないかしら。"Simply Shady" などエディ・ヒントンあたりに合いそうな南部風の佳曲なんだけれど。
しかし、逆にそのしゃがれた声がロック的な荒々しさに結びついていて、格好良く感じられる瞬間もあります。タイトル曲なんかちょっとボブ・ディランっぽいじゃありませんか。

ロニー・ウッドとの共作である "Far East Man" が一番出来がいい、と書いてしまうと、他のジョージがひとりで作った曲はどうなるんだ、という気もしますが。都会的なソウル色とさわやかな雰囲気がなんとも、たまらないですな。

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