2015-03-29

Eugene Record / The Eugene Record


昨年の暮れ、英Expansionからユージン・レコードのソロが2in1でリイシューされました。ファースト「The Eugene Record」、セカンド「Trying To Get To You」とも海外では初CD化のよう。
僕の中では何となく、'70年代のシカゴ・ソウルにおけるユージン・レコードのイメージは、'60年代デトロイトにおけるスモーキー・ロビンソンのそれとだぶっている。ソフトな歌い口に、品が良くメロウで、ロマンティックな作風。グループのリーダーとして活動しながら、レーベルメイトのレコード制作にも裏方で貢献していて。ついでにいうと同業者と結婚した、という共通点もあるな。

さて、ファーストソロ「The Eugene Record」は1977年リリースで、プロデュースはユージン・レコード自身、アレンジはユージンとトム・トム84が担当。
このアルバム、サウンドの作り込みがかなりしっかりしていて、密室的といってもいいかも。大胆にシンセを鳴らしている曲があれば、非常に細かいアレンジが詰まっている曲あり、ボーカルにエフェクトがかかっている曲なんかもあって、下手をするとごちゃごちゃしてしまいそうなんですが、仕上がりは滑らかで美しく、下世話さを感じさせないものになっています。特にエレピや管の響きが良いですね。
アナログではA面にあたる前半はゆったりとしたミディアムが中心。中では浮遊感を湛えたサウンドの "Here Comes The Sun" が素晴らしく、エンディングの長いインスト部分など相当に格好いい。続く、いかにもシカゴらしい軽快な "Overdose Of Joy" も悪くないな。
アルバム後半スロウばかり4曲連続で、個人的な趣味からすると落ち着き過ぎなんですが、ひとつひとつはいいメロディのものばかり。甘いけれど、くどくはない節度が好ましいです。
全体を通じてはっきりとした美意識が感じられる一枚ですな。

翌年の「Trying To Get To You」でも同じようなスタッフで制作されているのだけれど、サウンドのほうはぐっと開放的なものに。独創性は薄れたものの、その分親しみやすさが増していて、より広い層にアピールしそうな感じ。
楽曲のほうもキャッチーでわかりやすいものが多く、特に2~4曲目にかけて、メロウさが先立つミディアムが続く流れが絶品。シャイ・ライツ的なフレーズをこだわりなく使っているのも吉と出ているよう。
アルバム全体を包む暖かい雰囲気も心地いい作品です。

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