2015-06-21
平石貴樹「松谷警部と三ノ輪の鏡」
女性警官、白石イアイが謎解き役を務めるシリーズの第3作です。作品内では2007年になっており、前作からさらに4年が経過。上司の松谷警部はあと5年ほどで定年ですが、白石イアイも32歳に。結婚をし、巡査部長にも昇格しています。
事件のほうは、元プロゴルファーが自宅で撲殺されたのだが、第一の容疑者と思われる男は行方をくらましている、というもの。
凶器は容疑者の所有になるゴルフのパターであるうえ、現場にはその男の帽子も残されてもいる。また、さらに第二、第三の死体も発見されるのだが、それらのそばにも同じ容疑者の運転免許証やキーホルダーが落ちていた。
明白な証拠があるように思えるが、見方を変えればあまりに出来すぎではあるし、人を殺すのにパターのようなものを選んで自宅から持ってくる、というのも不可解だ。かといって、他の関係者たちにはアリバイがある。
今回は前2作より読み物としてしっかり作ってあって。あいかわらず展開は調査・尋問の繰り返しなのですが、新事実を出すタイミングが良いせいか、単調に陥っていません。コミック・リリーフも効いているし、キャラクターも雰囲気だけでなくそれなりに肉付けされている。
そして、解決編のはじまりがいい。捜査に行き詰って、資料に何度も当たり直していくうちに、見逃していたある点にひっかかる。ここがエラリー・クイーンぽくって、格好いいなあ。
謎解きそのものは複雑で、多くを蓋然性に頼ったものですが、その要所要所で冴えたロジックが光輝いております。犯人像と事件の性格が関連しているのもいいし、立ち昇ってくる犯行シーンも印象的です。
うん、面白かった。個人的にはここまでシリーズ3作のうちではベスト。
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