2016-10-22

Otis Redding / Complete & Unbelievable… The Otis Redding Dictionary Of Soul


50周年盤、ライノからのリリースです。
2CDにモノラルとステレオの両ミックス、ボーナストラックなどが詰め合わせられていますが、今回が初登場になる音源はありません。
リマスターのほうは音質控えめで、あまりいじってない感じです。まあ、古いライノ盤(ジャケットにはSTEREOと書かれていますが中身はモノラル)と比較してそう大きく違うわけではありません。ダイナミックレンジが広がった分、オーティスのボーカルの抑揚がよりわかりやすくなったと言えそうですが、ぱっと聴きには古い盤の方が迫力を感じるかも。

また、ステレオ・ミックス(ただし、うち一曲はモノラルです)はマスターテープがあまりこすられていないのか、モノラルよりも鮮度のある音になっています。しかし、定位が極端に左右に振れていて、ボーカルがセンターに無いものも多く、聴きづらい。既に'60年代後半に入っていたとは思えない出来ですが、スタックスはステレオに力を入れるのがだいぶ遅かったので、こんなものか。
あと、"Hawg for You" の後半で、歌詞がステレオとモノラルでは違っていますね。


「Dictionary Of Soul」は1966年、(カーラ・トーマスとのデュエット・アルバムを除けば)オーティス・レディングの生前最後に出された作品です。
良く売れたそうなのだけれど、個人的にはこれ以前のものと比べるとちょっと散漫かな、という印象を持っています。音楽スタイルとしてオーソドックスな南部ソウルから次の方向性を探っている過渡期、という感じ。オリジナル曲が増えているのですが、正直、その中には凡庸に思えるものもある。
それでも他ジャンルの曲を自分のものにする力はやはり並外れていて。"Tennessee Waltz" や "Try A Little Tenderness" での解釈は絶品ですな。また、この2曲はステレオ・ミックスでもボーカルが中央に定位していて、ミックスの分離が激しい分、かえってオーティスの歌いまわしがはっきり聞き取れる、という楽しみ方が出来ます。

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