2016-10-08

The Rolling Stones / In Mono


15枚組モノラル・ボックス、ボブ・ラドウィグによる新規リマスターに釣られて買っちゃいました。「Aftermath」以降のモノラルのマスター・テープはまだそんなにへたっていないんじゃないか、という期待もありましたし、個人的に「Between The Buttons」のステレオ・ミックスが気に入っていなかったのというのも大きいかな。
しかし、これがちょっとややこしい。純正のモノラルではないものや、オリジナルのミックスとは違うものが収録されているようなのだ。

まず、オリジナルからしてステレオからのフォールド・ダウンであったタイトルがふたつ。
「Let It Bleed」はアルバム丸々一枚がそう。そして、ひとつ前の「Beggars Banquet」、これは "Sympathy For The Devil" だけが純正のモノラル・ミックスで残りはフォールド・ダウン。まあ、ピッチの違いなんかはあるのですけど。

問題は1964年のチェス・セッションからの曲。オリジナルはモノラル・ミックスでしたが、2002年のリマスターの際にこれらの多くは初登場のステレオ・ミックスに差し替えられました。そして、今回のボックスではその2002年版からのフォールド・ダウンが採用されているようなのだ。
アルバムだと「12x5」にたくさん入っていて、他にも「No.2」、「Now!」、「December's Children」なんかに散らばっていますが、いやあ、残念。

あと、「Between The Buttons」では、"Back Street Girl" と "Please Go Home" のモノラルはどうやら、元々がフォールド・ダウンだったようだ。今回は両曲ともに初登場になる純正モノラル・ミックスであります。これは逆に嬉しいか。

更に、アルバム以外の曲を収録した「Stray Cats」にも、従来のものとは違うモノラル・ミックスが入っているようだし、"Tell Me" のフェイド・アウトが早いとか細かい編集をつつき出すと大変なことになりそうですね。だれかわかりやすいリストを作ってくれないかしら。

5 件のコメント:

  1. foolishprideさん、こんばんは。

    僕はLP boxを注文していますが、ようやく月曜日に受け取りできそうです。

    >今回のボックスではその2002年版からの
    >フォールド・ダウンが採用されているようなのだ。

    なんと、そうなんですか!それは、反則ですよね。
    う~ん、そいつはちょっと残念です。
    それなら、86年のAbkco初CD化の『12x5』は手放せないですね。

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    1. JDさん、コメントありがとうございます。

      厳密にいいますと、'64年のチェス・セッションそのものがステレオでレコーディングされていたそうです。
      EP「Five By Five」のシートを見ると"STEREO"、"COMPATIBLE MONO" と書かれています。モノラルへのフォールド・ダウンを考慮したステレオ・ミックスがなされていた、ということでしょう。
      おかしな話ですが、オリジナルからして純正のモノラルではなかった(ステレオではリリースされなかったにもかかわらず!)わけです。

      今回のモノ・ボックスは新規に作られたフォールド・ダウンというわけで、理屈からすればミックスバランス自体はオリジナルと変わらないんじゃないか、と思うのですが。

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  2. foolishprideさん、はじめまして。
    どうぷと申します。
    JDさんのブログリンクから来ました。

    ワタシは、ストーンズにそれほど明るくないので、この辺りの情報とても参考になります。"Tell Me"のヴァージョンからも、オリジナルのマスターテープ(リール)からのリマスターでは無いのかなと感じました。

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    1. どうぶさん、はじめまして。

      僕もひとつひとつの曲を取り上げて、これはどのヴァージョンだ、なんて言えるほど詳しくもなければ根気もないのですが。"Tell Me" については謎ですね。2002年の段階でもっと時間の長いものが使われているのに。
      今回のボックスはアブコから提供されたデジタル・データを元に、ボブ・ラドウィグがマスタリングする、という形であって。アブコからはソースの選択についての情報は漏れてこないような気はします。

      ついでなので書いておくと。「Beggars Banquet」と「Let It Bleed」にはおそらくモノラルのマスターテープというものは存在しないと思います。(「Beggars~」に関してはビル・レヴェンソンというリイシュー・コーディネーターの証言もあって。ステレオ・マスターからカッティングの際にモノラルに落とされていたようです)。ですから、今回のボックスでも「Beggars~」と「Let It Bleed」についてはステレオのデジタル・データを元に作成されたものと考えます。
      いや、個人的には両アルバムともいいサウンドになっているとは思いますが。

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  3. 1964年のチェス・レコーディングについてのメモ。

    1.元々のミックスはステレオでしか行われていない。

    2.オリジナルのモノ・ミックスに使用されているのは、いったんステレオからモノラルに変換したマスターである。よってジェネレーションがひとつ経過している。
    また、当時のステレオ盤は疑似ステレオであって、チェス録音も例外ではない(「December's Children」はリアル・ステレオなので "Look What You've Done" は除く)。

    3.今回のモノラル・ボックスではステレオ・マスターから直接落としているため、従来よりジェネレーションが若いものがソースになっていると考えられる。

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