2017-10-28

The Jam / 1977


ジャムの最初の2枚のアルバムを中心にしたボックスセット、4枚のCDにDVDという構成です。
これで彼らのアルバムは全てデラックス仕様でリイシューされたことになります。

判型はばらばらだが

今回のリリースで不満を挙げるとすると、セカンドアルバムのデモが無いことか。いや、ディスク2に収められている「In The City」のためのデモの数々(うち半数はオフィシャル初登場)が実に聴き応えがあるのでね。バランスはいまいちだし奥行きには欠けるものの、生々しさや粗さが大いなる魅力となって迫ってくる。

またディスク4、始めのジョン・ピール・セッション8曲は「At The BBC」に入っていたのと同じ演奏ですが、ここでのギターの金属的な鳴りはまさにドクター・フィールグッド直系、という感じで嬉しくなってくる。個人的にはアルバム収録バージョンより好み。
その後に収められているのナッシュヴィルでのライヴは初登場のものだ。音質も悪くない。テンションの高さが空回りしているような曲もあるけれど、そこがこういった音源の楽しさでもある。


DVDのほうには珍しいものは無いようだ。1977年に絞ったことで分量も控えめ。だからこそ、一気に通して見てしまえる。何の演出もない、ただ演奏している姿を捉えているものだが、ただごとではない疾走感。当て振りのものでも全力だ。




結局のところ、ジャムのアルバムでは「In The City」が一番好みですね、個人的には。あっという間に過ぎていって、後には何も残さないような音楽。一方で、こういう表現は長く続けていくことができない、というのもまたわかる。
ポール・ウェラーは「In The City」について、収録曲の多くはザ・フーのファースト「My Generation」を下敷きにして書いたと語っているそうですが、"Non-Stop Dancing" なんかは同時期のエルヴィス・コステロと似たテイストがありますね。微妙にパブ・ロックっぽい。というか、スペンサー・デイヴィス・グループから来ているのかな。

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