2018-05-01

Ranny Sinclair / Another Autumn


ラニー・シンクレアという女性シンガーが1960年代中期、Columbiaに残した音源集。昨年にSundazed傘下のModern Harmonicというところから出されたものです。
全4枚のシングル両面に未発表であった4曲を加えた全12曲がモノラルで収録されており、マスタリングはボブ・アーウィンが担当。

当時のレコード制作はテオ・マセロによるもので、ジャズ色を感じさせるポップス。そこにウィスパーボイスに近いようなソフトなボーカルが乗っかっています。
曲はミディアムとスロウが半々。スロウの曲は割合にコンテンポラリーなポップスに近い感触のものが多いのですが、テンポ速めの曲におけるジャズとポップのバランスが絶妙です。
中では一曲目の "Fan The Flame" が一番良いな。スパイ映画を思わせるようなブラスが効いたスリリングで華麗な曲調が一転、クールなフォービートに変化する展開が格好いい。
他にも、高速ジャズワルツの "Wailing Waltz" は渋く決まっているし、サンシヤインポップ的な要素が強い "Bye Bye" などはインナー・ダイアローグあたりを思わせるスマートな出来栄え。
また、未発表曲でも軽快にスイングする "There Won't Be A Trumpet"、"A Wonderful Guy" など、実に洒落た仕上がりです。

ポップスとしては装飾控えめなアレンジと甘い歌声がちょうどいい具合であって。あえて近いものを挙げるとしたらブロッサム・ディアリーになるかな。

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