2020-03-03

Horst Jankowski / For Nightpeople Only


2009年に出た24曲入りの編集盤で、中身は独MPSよりリリースされたアルバム「For Nightpeople Only」(1970年)に曲をいっぱい足したものです。
ライナーノーツのクレジットはいまひとつ信用ならなくて、この盤のトラック1~13が「For Nightpeople Only」からとあるのだけれど、実際のアルバムは10曲入りで(記載のレコード番号も間違っているみたい)、そのサイドAに当たるのが1、2、3、4、8、B面が10、9、5、13、7らしい。トラック6、11、12は1972年のアルバム「Follow Me」収録曲のよう。
こんな、他人からすればどうでもよさそうなことを調べるのは、アルバムの曲順にはちゃんと意図や意味がある、とわたしは考えているからなのだ。できればオリジナルなものをいじって欲しくない。もっとも現代においては、大抵のひとはそんな聴き方はしていないのかもしれない。
まあ、ええんやけどさ。

「For Nightpeople Only」は英米のヒット曲のドイツ語カバーとヤンコフスキーによるオリジナル曲が半々、カラフルなアレンジと混声コーラスがとても楽しいイージーリスニング盤。ゆったりしたテンポのものでも控えめに配されたパーカッションが効いていて、仕上がりは軽やか。
ドアーズの "Light My Fire" が陰影に富んだイントロからラウンジ調の本編への展開が無理なく決まっていて、素晴らしいですね。この曲やビートルズの "Fool On The Hill" では深く響くベースラインが印象的で、ジャジーなセンスが見え隠れするのも洒落ています。
でもってアルバム中のベストは、オリジナルの "Das ist der Morgen"。感触の近いものを挙げるとすればワルター・ライム・プロジェクトか。叙情を湛えながら緊張感ある展開が格好良く、クール目のサンシャインポップとして非常に良い出来です。

残りの11曲は1968、69年のもの。基本的な線は変わらないものの、もっとコンテンポラリーな感じを受けます。時期的に前になるせいか編成を大きく聞かせるものが多いか。「For Nightpeople Only」の曲の方がややリズムに意識があるかな、と。

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