2023-03-08
In The Garden: The White Whale Story
2003年、英Rev-Olaより出されたホワイト・ホエールのコンピレイション。
編纂に携わったのは後に同じCherry Red傘下でNow Soundsを立ち上げ、サンシャイン・ポップのいいのをばんばんリイシューするスティーヴ・スタンリーで、選曲も彼の個性が感じられるもの。タートルズの曲をあえて外した上で、ポップな曲を選りすぐったものになっていて、前回に取り上げた「Happy Together (The Very Best Of White Whale Records)」との重複はわずか一曲にとどまっています。
まあ売れはしなかったものの良い曲が目白押しですな。
クリークの "Soul Mates" はのちにパレードを結成するスモーキー・ロバーズ作。内省的かつ華やかで、とても好み。コーラス部分の展開など、なるほどパレードそのものだ。
また、トリステ・ジャネロもここでは落ち着いていて都会的なものが選ばれています。とくにこの盤のタイトルにもなっている "In The Garden" はセルメン・フォロワーの影も形もないクールなアンビエンスのもので恰好いい。
そしてニノ&エイプリルの、デヴィッド・ゲイツ作 "You'll Be Needing Me Baby" と、これもメロウ極まりない選曲。
もっとも、この辺りは単体でのリイシューもされているし、良くて当然、といえなくもない。
シングル・オンリーのもので目に付くものを挙げると、ライム&サイベルはウォーレン・ジヴォンがいたデュオだが、ジヴォンが首にされたあと別のソングライターが “ライム” となって出したシングルは両面ともカート・ベッチャーのプロデュース。いかにも彼らしいハーモニー・アレンジが聴けます。オールドタイミーな曲調の "Write If You Get Work" が気に入りました。
更に良いのがコミッティという、アル・キャプスとセッション・シンガーのスタン・フェイバーによるスタジオ・プロダクトによる "If It Weren't For You"。これは「Happy Together~」に入っていた "California My Way" のB面曲で、シングルとしてはラジオでA面の方をかけさせるために、わざわざ逆回転にして収録されていたという代物(タイトルも "You For Weren't It If" と、さかさにされていた)。ここではもちろん、正常なかたちで聴けるわけですが、いやいや、なんて勿体無いことをしていたのか、と思うくらいのグレイト・サンシャイン・ポップ。ソルト・ウォーター・タフィーあたりが好きなひとは気に入るのではないかな。作曲はホワイト・ホエールのスタッフ・ライターであり、自分たち名義のシングルも出しているダルトン&モントゴメリー。
他にも聴きものとして、ニコルズ&ウィリアムズ作の "Do You Really Have A Heart" と "We've Only Just Begun"、それぞれ最初期の録音があります。"Do You Really~" を歌ったのはのちに "Drift Away" をヒットさせるドビー・グレイ。"We've Only Just Begun" はスモーキー・ロバーズが歌い、自らプロデュースしたもの。どちらもメロディを尊重し、暖かみのあるつくりで、よろしくてよ。
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