2009-06-13

T.S.U. Toronados / One Flight Too Many


"Hi everybody, I'm Archie Bell of the Drells from Houston, Texas"
アーチー・ベル&ドレルズの "Tighten Up" はそう熱心なソウルファンでなくとも知ってるかもしれない、非常に中毒性の強いリフをもつファンキーな曲だ。でも、そういう種類のものを期待して彼らのCDを買ってしまうと、ちょっと裏切られた気になるかも。"Tighten Up" はもともとテキサスのマイナーレーベルから出てローカルヒットしていたものを、アトランティックが買い上げて配給したところ、全米大ヒットに繋がったという経緯がある。で、以降ドレルズのレコードはフィラデルフィアで制作されるようになっていくのだ。僕の持っているアーチー・ベル&ドレルズのベスト盤はライノから出たものであるけれど、"Tighten Up" 以外はもろのフィリーソウルばかりであり、面食らったものだ(出来はすばらしいのだが)。

さて、その "Tighten Up" のバックで演奏していたのが、T.S.U. トルネードズというテキサスのファンクバンドである。この「One Flight Too Many」というCDは彼らが1968~69年に残したシングルおよび未発表曲を詰め込んだもの。
とにかくリズムの太さが気持ち良い。"Tighten Up" という曲の魅力はしなやかな弾力性にもあったと思うのだけれど、こちらはもっと、いなたくてゴツゴツしているかな(まあ、まんま "Tighten Up" という曲もあるんだけど)。ホーンセクションも力強くてキマっている。"In The Midnight Hour" や "It's Your Thing" のカバーも独自色をだしつつ格好良い仕上がり。 また、ヴォーカル入りのファンクはJB似だったりスライ似だったりするのだが聞き劣りするものではなく、なかなかのもの。
さらには、スウィート仕立てのメロウな唄モノも演っていて、こちらも意外に出来がいい。ここら辺、演奏力だけでなくセンスもあった、という証明だと思う。ただ、熱唱しているバラードだけはあんまり良くない。臭すぎる。聴かせる、というほどには歌は上手くないというのがバレてしまう。

ま、とにかく "Tighten Up" にやられてしまったひとは勿論、ラフで骨太のファンクが好みなら必聴の一枚でしょう。往時のローカルなファンクバンドの実力、恐るべしであります。
しかし、本当をいえば "Tighten Up" はジェイムズ・ブラウン・バンドのライヴヴァージョンの方が好きなのだが。

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