2009-06-19

James Brown / Soul Pride (The Instrumentals 1960–1969)


前回書いたジェイムズ・ブラウン・バンドの "Tighten Up" というのは、1968年に行われたダラスでのライヴにおけるものである。世界一のファンキードラマー、クライド・スタブルフィールドの叩きまくりのドラムが圧倒的で、キース・ムーンも真っ青の、タイムをキープしたままでのドラムソロといったもの。この "Tighten Up"、ベースもブリブリいってて格好いいし、トランペットソロも実にきまっている。メイシオ・パーカーのMCもいい感じであります。まあ、オリジナルと殆ど同じアレンジでカバーをやるのは、バンドの力量から見ても反則だという気はしますけれど。
このときのコンサートは単独でも出ているけれど、"Tighten Up" に限っては1993年にリリースされたコンピレーション「Soul Pride」が初出です。

副題に「The Instrumentals 1960–1969」とついているように、このCDはジェームズ・ブラウンが'60年代に録音したインスト曲より選曲された2枚組。JB'sという名で呼ばれるようになる以前の、彼のバンドの音楽的変遷が辿れるようになっておりますが、やはり、聞き物となるのがこのCDセットの後半3分の1で、クライド・スタブルフィールドがいた時期の録音であります。クライドは1970年にバンドを脱退したまま帰ってこなかったためJB'sには参加していないので、こうした形で彼のプレイするインストのファンクをまとめて聴けるのは嬉しいすね。
'60年代後半は、インストでもそこそこヒット曲が生まれていた時期であって、バンドの充実が伺える名演が連続で収められています。一番最後に入っている "Funky Drummer" はおそらくここでしか聴けないミックスで、このヴァージョンが一番いいんじゃないかな。

そのほか、'60年代初期は大雑把にいうとビッグバンドによるR&Bなんですが、時代を感じさせるものも多い。のどかというか。'60年代中ごろから徐々にファンク度を強めていくのは、JB自身のヒット曲と歩みを同じにしていますね。
そもそもがヒット狙いとは無関係に制作された曲が多く、バンドメンバー達の元々の嗜好が出たブルースやジャズをまんまやっているものもあって、それはそれで面白い。
で、そういった演奏だけでは個性の薄いものになりかねないのですが、やはりJBが参加している曲では変な勢いがあります。特にオルガンを弾くとこれが全くデタラメというか、すべてぶち壊しというか。いや~ファンキーだ。

JB's 前史を手っ取り早く理解するには最適なセットかも。

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