2011-03-25

Stackridge / Stackridge (eponymous title)


スタックリッジのデビュー・アルバム、1971年リリース。

一曲目の "Grande Piano" は、いかにもビートルズの血筋を汲む典型的な英国ポップですが、他の収録曲はどれも一筋縄ではいかなくて、なかなか手に負えない。アコースティック・ギターをベースにフィドルやフルートが活躍するトラッド風味と、英国特有の奇妙なユーモアを感じさせる密室的ポップセンスが絡み合う、他にちょっと無い個性のものであります。リリカルなフォークソングが突如として10cc風モダンポップに変化する "The Three Legged Table" は特に強烈。
雑多な要素がごった煮になった音像は、時に未整理といえなくもないのだけれど、バンドとしてのスケールの大きさを感じさせるものであるのは確か。

また、アナログ各面の最後に長尺のナンバーが置かれているのは、ライブバンドとして鳴らしていた矜持の表れか。特にラストを飾る "Slark"。草原の中で得体の知れない気配が跋扈し、聴いているうちに罠にかかったような感覚に陥る、14分に及ぶ田園プログレであります。

人懐っこい歌声に引き込まれるうちに、なんだかわけのわからない場所に出てしまった、そんな音楽。
ジェームス・ウォーレンのソングライティングは確かにマッカートニー的ではありますが、よく目にする「田舎のビートルズ」というフレーズは、このバンドの音楽的拡がりを到底掬い切れていないとも思いますね。

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