2012-03-18

Todd Rundgren / Nearly Human


トッド・ラングレンは別にユートピアとしてのグループ活動を行なっていたせいなのか、1978年の「Hermit Mink Of Hollow」以降、ソロ名義のアルバムは殆どワンマン・レコーディングで制作していた。それらの作品はポップかつユニークだけれど、ややこじんまりとしている感もあるかな。

「Nearly Human」(1989年)はアルバムとしては前作「A Cappella」より4年のインターバルを経て発表された作品。レコーディングはそれまでとは一転、大所帯のメンバーでもって、スタジオライヴで行なわれた。かつての「Something/Anything?」最終面に収められていたものがスケジュール不足から急遽行なわれた一発録りであったのに対して、ここでは入念なリハーサルを経た後に、トッドが納得するまで何度もテイクを録り直して制作されたそう。先祖返りしたようなレコーディング方式は参加ミュージシャンにとってはきつかったでしょうが、結果としてアレンジは緻密ながらダイナミックな演奏が捉えられた作品に仕上がっているのでは。

音楽的には実験性が抑えられて、トッドのソウル趣味が全開。勢いある演奏にあおられてか、そのボーカルもとても熱く、そうなるとダリル・ホールとの相似が意識されるところですが、アルバムのオープナー "The Want Of A Nail" でジョン・オーツ役を務めているのはボビー・ウォマックだ。この曲で二人の声が交錯するさまには本当、ぞくぞくさせられる。
その他、泣きが入った "Parallel Lines"、ドラマティックな "Can't Stop Running"、マーヴィン・ゲイを思わせる "Feel It" など、メロディの良さが堪能できる非常にわかりやすい曲が揃っています。

トッド・ラングレンのアルバムの中でも特に唄物に大きく振った一枚でありますね。
しかし、ソウルマナーに依って作り込むことで、かえってトッドのボーカルがロック的であることもわかるな。テンションの高まり方の質が違うもの。スウィートな曲ではちょっと堅いかな、という印象です。

今回のEdselからのリイシュー群は皆2in2、もしくは3in2になっているのだけれど、この「Nearly Human」のみディスク1と2にまたがって収録されているのが残念。

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