2012-07-01

Lou Ragland / I Travel Alone


クリーヴランドのソウルシンガー、ルー・ラグランの1960~'70年代の作品をコレクトした3枚組CDセット。シル・ジョンソンのすさまじいボックスでファンをビビらせた米NUMEROの仕事です。



ディスク1は'60年代のソロシングルではじまります。少しモータウンを意識したような軽快な "I Travel Alone" とその裏面でこちらはシカゴ風の "Big Wheel"。どちらもラグランの伸びやかなテナーが存分に発揮されたノーザンであります。ただ、レアなものだけあってか音質もそれなり。
続いてヴォルケニック・イラプションというグループでリリースされた可愛いワルツ "Red Robin" とメロウな "I’ve Got Something Going On"、これらはどちらもポップスといって良いもの。ソウルファン向けではないかもしれませんが出来は良い。
そして、1971年に出たホット・チョコレートの唯一のアルバムとそれに収められなかったシングル曲が収録。特に、"We Had True Love" のシングルはアルバム収録のものとはまるっきり別ヴァージョンであって、これは聞き物です。



ディスク2にはソロシングルとそれに続いて出たファーストアルバム「Understand Each Other」(1977年)収録。あと、ワイルドファイアという名義のものが一曲あって、これが強力なファンクナンバー。思うに、ラグランはソロとグループではやりたいことがはっきりと違っていたのだろうな。
「Understand Each Other」のリマスターに期待していたのだけれど、曲によってはちょっとこもり気味のものもある。とはいえ、ハイ・レーベルを少し意識しながらも都会的な爽やかさを漂わせる、曲良し歌良しの好盤であることには違いない。
これだけの曲が自分で書けて、声もいいのに、う~ん。すごく力のこもったライナーノーツを読んでいると、どうもラグランというひとは色んなことが出来てしまうあまり、大きな波に乗れなかったような印象を受けますね。



ディスク3はなんとホット・チョコレートのライヴ。どうやらアセテートから起されたもののようで、音質はブートレベルです。
録音は1973年で、このころグループにはフルートやヴィオラ奏者もいたようだ。スタジオでのミニマルな演奏とはちょっと違い、なんだか野心的というか混沌としているところも。ライヴらしく、有名曲のカバーなんかもやっているのだけど、そういったものではラグランはリードを取っていないようで、残念。しかし、"Understand Each Other" は既にここで演奏されています。


個人的には、グレイトなシングル曲がまとめて聴けるようになっただけでも満足ですたい。値段も高くないしね。素晴らしきかな、ノーザン。

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