2012-11-18

Gary Lewis & The Playboys / New Directions


ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズがキャリア後期に出した3枚のアルバムが、英BGOから3in2でCD化されました。

Disc1には1967年にリリースされた「(You Don't Have To) Paint Me A Picture」と「New Directions」の2枚のアルバムが収録。

まず「~Paint Me A Picture」はプロデュースにスナッフ・ギャレット、アレンジがリオン・ラッセルとお馴染みのチーム。
3曲のシングルヒットが収録されているのだけれど、個人的にはそのうち "Where Will The Word Come From" というのが大好きな一曲で。柔らかな管弦にコーラスも決まった、甘くジェントルなフラワーポップであります。ただ、それまでのシングルが全てトップテン入りしていたのに対して、ここでの3曲はそこまではいかず、そろそろ人気に陰りが見え始めた頃といえましょう。
その他の曲ではシングルB面であった "Tina" も良いのだけれど、この時期くらいまでの彼らのアルバムはシングル+埋め草、という感じのものが多くて。この「~Paint Me A Picture」でも有名曲・ヒット曲のイージーなカバーが多くを占めていて、それらはまあつまらないですね。"Barefootin'" や "Wild Thing" の出来ときたら腰抜け、という言葉が相応しい。

続いて出た「New Directions」、このアルバムが今回のリイシューにおける目玉でしょう。
ここではスナッフ・ギャレット=リオン・ラッセル組が外れ、ジャック・ニーチェ、ニック・デカロ、ハンク・レヴィンらによる制作となります。
収録曲のうち半分はアラン・ゴードン&ゲイリー・ボナーが書いたものなんだけれど、それがそのままアルバムの聴き所といえるのでは。いずれも洒落たセンスを感じさせる出来で、とりわけアルバム頭の "Girls In Love" "Double Good Feeling" とくる連打、及び最後を締める "Moonshine"、これらがダイナミズムと繊細さを兼ね備えたアレンジもあって素晴らしい仕上がり。
その他の曲でもラヴィン・スプーンフルを思わせる曲や、バーバンクサウンドと共通するような機知に富んだアレンジなど、聴いていて思わず頬が緩んできます。
全体として、それまでのゲイリー・ルイス&プレイボーイズの明るいイメージを残しつつも、ぐっと芳醇さを増したような印象で。穴埋め的な曲の無い、力の入った作品です。

Disc2はゲイリー・ルイスのソロ名義になる「Listen!」を挟んで1968年に出された「Now!」が収録。プロデュースにはスナッフ・ギャレットが呼び戻され、アレンジはアル・キャプス。
収録曲ではパレードがデモ録音を残している "How Can I Thank You" が目を引きますが、それよりもマイケル・Z・ゴードンの書いた "What Am I Gonna Do" がメランコリックで好みです。あと、ポール・レカの "Pretty Thing" も哀愁メロディと疾走感の対比が格好いい。
その他は殆どカバー曲ばかりなんだけれど、ここではそこそこ力の入った出来のものになっていて、中ではボブ・リンドの "Exclusive Butterfly" をメロウに仕上げたヴァージョンが気に入りました。

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