2013-05-18

The Foundations / Baby Now That I've Found You


このところファウンデイションズを聴き返していて。僕の持っているのは昔、英Sequelから出た二枚組CDです。

彼らのプロデューサーは英国ポップのファンにはお馴染み、トニー・マコウリィなのだけれど、一枚目のアルバム「From The Foundations」(1967年)の頃はまだ彼のキャリア初期であったせいか、聴けるのはいかにもマコウリィらしいサウンドではなく、マージービートとノーザンソウルを掛け合わせたような躍動感あるもので、グループの本来持っていた資質を生かす方向で作られているよう(最初はファウンデイションズだけで制作しようとしたけれど、結局はセッションミュージシャンを投入することになったらしい)。今聴くと、そのことによって他では得られない個性が残ったように感じます。
ホーンセクションはありますが、ストリングスが使われていないところがバンドらしさであって、ここら辺は単なるモータウン亜流とは違います。クレム・カーティスというシンガーの声も熱っぽくて、いい。
マコウリィとジョン・マクラウドの手による曲は、キャッチーなメロディに判り易くも楽しいバックコーラスが素晴らしい。鍵盤を使って中低域に厚みを出しているのがうまいところですが、敢えて欠点を挙げるとすれば、それらの曲ではアレンジがみな同じように聴こえることでしょうか。
また、アルバムの半分を占めるカバー曲も結構良い出来です。ペトゥラ・クラークの "Call Me" をクラブ仕様にアダプトした演奏は洒落ているし、ジョー・テックスの "Show Me" は迫力に申し分がない。

リードシンガーが交代してからのアルバム「Digging The Foundations」(1969年)になるとサウンドが少し変わってきています。マコウリィ&マクラウドによる曲ではストリングスがしっかりと入って、はっきりとミドル・オブ・ザ・ロードのポップスに振り切っている。トニー・マコウリィという名前からイメージするような音になってきた、と言えましょう。中でも "In The Bad Bad Old Days" がこれでもか! というアレンジで抜群の仕上がり。
それ以外では、ファウンデイションズのメンバーによるオリジナル曲が増えてきているのだけれど、いまいちフックに欠けるものが多いかな。

バンドの本来やりたい音楽をさせてくれなかったということで、トニー・マコウリィとファウンデイションズの仲は相当悪かったそうでありますが、残された曲にはひたすらにご機嫌なものがあって。聴いていて、ポップスとはこういうものだよな、という幸せな気分にさせられます。

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