2013-06-01

The Beach Boys / Wild Honey


1967年のビーチ・ボーイズ、最後のモノラルミックスアルバム。

レコーディングはブライアン・ウィルソンの自宅スタジオで行なわれたそうで、それまでの複雑なものから、ぐっとシンプルな構成のものになっています。凝ったコーラスやアレンジは無いし、メンバー自身が中心となった小編成の演奏はときにチープさも感じられるのですが、それらが親しみやすさに繋がっているようでもあり。
サウンドにおいてはデッドな音処理が特徴的で、特にボーカルが生々しい。ミックスも随分ラフな感じ。

音楽的にはR&Bテイストの導入というのが挙げられまして、いくつかの曲ではカール・ウィルソンが気張った声を聴かせます。でもビーチ・ボーイズですから、全然黒くはならないし、軽い。サイケ時代の名残りみたいなところもある。んで、それがいい。チャーミングな味付けにとどまっているのが、かえってポップスとしてはいい塩梅かな。
そういった曲の中でのベストは "Darlin'" でしょうか。出来の良い曲はやはりしっかりとプロダクションが施されていますな。

個人的には "I'd Love Just Once to See You" のような穏やかな小品が好きです。ブライアン・ウィルソンのシンガーソングライター路線、と言ったらよいか。次作の「Friends」だと "Busy Doin' Nothin'" とかね。

いいメロディもそこそこ揃い、リラックスして、普段着の魅力をたたえた一枚だと思います。フレッシュで温かみのある、新しいビーチ・ボーイズの始まり。

0 件のコメント:

コメントを投稿