2014-07-27

ジョン・ディクスン・カー「テニスコートの殺人」


これも大昔に旧『テニスコートの謎』で読んで、なんとなくは覚えているような。
足跡のない殺人ものであります。しかも犯行方法が絞殺とくれば、なかなかの難易度。

事件は不可能犯罪なのか、そうでないのか、その境界で揺れ続けるという趣向がひねくれていて面白い。読者は果たしてヒロインを信じて良いのか?
また、主人公はヒロインを窮地から救おうとするものの、予想外の出来事が襲い掛かり、サスペンスと同時に謎が増していくという、よくある演出だけど、この辺りもうまい。ストーリーテリングの冴えといいますか。
うん、中盤くらいまでは凄くいいんだけどなあ。

最後まで読み進めるとプロットはつぎはぎっぽいし、ご都合主義が目立つ謎解きにはどうしたって無理がある。とてもオリジナルなメイントリック(ここまでやるか!)も含めて、これもカーらしさなんだけれど、下手すりゃ古臭いと思われるかも。
さらには微妙な記述もあって、個人的には思わず嬉しくなってしまったのだけれど、怒るひともいるよな、これは。

意外に面白かった。けどまあ、ファン向けですね。

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