2015-09-05

The Isley Brothers / It's Our Thing


アイズリー・ブラザーズが1969年、自身のレーベルであるT-Neckからリリースした最初のアルバム。
これ以前3年ほどの間はモータウンに所属し、あてがわれた曲ばかりを歌っていたのに対して、ここでは全ての作曲・プロデュースを自分たちで手掛けている。結構な変化というか冒険であったと思うのだが。
ジャケットに写る姿を見てもそれまでが揃いのスーツであったのが、いけてるのかそうでないのかはわからないが、とにかく個性的な格好であります。

アイズリーの音楽には都会的で洗練されたイメージがあるが、ここで聴けるのは粗野さを残したダイナミックな表現だ。
何といっても大ヒット・シングルである "It's Your Thing" が強力なファンクなのだけれど、ちょっとレイドバックした感覚がある。ホーンが入っているせいもあるか。いくつかあるスロウに土臭さが感じられるのも、この時期ならでは。
また、ロナルド・アイズリーのヴォーカルは後年のようなウェットな色気は控えめで、荒々しく、ストレート。ゴスペル的な感覚も濃く出ているように思う。

アルバムには "It's Your Thing" 以外にもゴツゴツして乾いた感触のファンクが多く並んでいて、スライ&ファミリー・ストーンやジェイムズ・ブラウンの影響が強く感じられる。そして、そこに個性を与えているのは存在感あるギターではないか。チャールズ・ピッツという、スタックスでもセッション・ミュージシャンとして活動していたプレイヤーによる演奏で、切れのいいリズムギターはもちろん、スロウの曲でもその硬めの音が独特の緊張感を生んでいる。

スタイルは借り物かもしれないけれど、自分たちのやりたいことで押し切った、そんな勢いがみなぎっている。まだまだ若々しくて、けれんの無い歌声が気持ちいい。

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