2011-08-19

P・G・ウッドハウス「ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻」


事件簿、というタイトルだとミステリのようでありますが、ユーモア短編集ですな。
1910~20年代の英国が舞台で、有閑階級の暢気な若者バーティと、それを陰からうまく操縦する従僕ジーヴズの物語。

英国ユーモアといっても基本的にドタバタですし、凄くわかりやすいものばかりであります。
収録作品には似たようなパターンがあって。バーティにはやたら女性に惚れ易い友人や、バーティを結婚させようとする叔母がいて、彼らのせいで厄介ごとが降りかかってきます。ところが、バーディは悪い人間ではないけれど思慮が浅く、実際的な問題にはまるで役に立たない。そこで、ジーヴズが自分はあまり目立たないように立ち回りながら、うまく手を打ってそれを解決する、というもの。紳士階級のドラえもんとのび太みたいな。
出てくるやつがみなバカというか好き勝手、自分の思い通りにやろうとしてトラブルを起こすのだけれど、時にはバーディが従僕ごときにまかせずに自分で解決しようとして、さらに問題をややこしくする場合も。

完璧な従僕、ジーヴズは常に最小の手間で最大の効率を上げますが、それが作品の意外性やスマートな読後感にも繋がっていますね。時折、腹黒さがちらりと見えることもあって、マキャベリズムという言葉を思い出させたり。

作品内の空気はさすがに100年近く前のものなので、長閑です。背景描写はあっさりでとんとんと筋が進むので、舞台劇のような感覚を覚えました。サブキャラクターはみな典型といっていいものではあるし、さながらウェルメイドプレイの趣。

気楽にするすると読んでしまえるので消夏には良い一冊では。

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