2011-08-06
The Lewis Sisters / Way Out... Far
ルイス・シスターズのこのアルバムは1959年リリース。ピアニストのレス・マッキャンらとともに作り上げたもので、ジャズのスタイルをとっているけれど、その魅力は一般的なジャズコーラスのものとは全く違うものだろう。取り上げられている曲はスタンダードなものが殆どなのだが、どれも非常にユニークな仕上がりになっていて。
ここで聴けるのはレコーディング作業ということを強く意識し、最終的に全体のサウンドがどう再生されるかを考慮してアレンジされたものだ。
二人の声はステレオミックスの左右の位相にはっきりと分かれているのだけれど、良く似た声質でもって、あまりジャズらしい開放感が無くどちらかといえばクラシック的な素養を感じさせる端整なハーモニーは、さながらシンクロナイズド・スイミングのよう。スタジオ、という密室を強く感じさせる綻びの無さであります。
また、要所を押さえるダブルトラックが独特の印象に輪をかけていて。同じ構造の二声ハーモニーが左右のトラックそれぞれ別録りで入っているのだが、二人の声量バランスが左右で変えてあるため、奇妙な拡がりが感じられるものになっているのだ。更にはエコー処理も幻想的な印象を作り出すのに一役買っていると思う。
演奏は現実離れしたような世界感を補強するように柔らかなセンスで統一されているのだけれど、サックスソロなどに入ると普通のウエストコーストジャズになってしまうのが何だか不思議ではあるか。
テクニックを聞かせるのが主眼ではないし、若い二人のチャーミングさ(図らずもこぼれ落ちる瞬間はあるが)を売りにしているわけでもない。結果としてエンターテイメントとモンド/ラウンジの狭間にあるような、非常に意欲的というか、他に類を見ない音楽になっているのでは。
モダンなコンセプトが際立つ、特異な質感の一枚。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿