2015-04-30

Hysear Don Walker / Complete Expressions


ヤング・ホルト・トリオにいた鍵盤奏者、ハイザー・ドン・ウォーカー。彼がブランズウィックに残した2枚のリーダー作がウルトラ・ヴァイブよりリイシューされました。
そのうち先に出たほうのアルバムが「Complete Expressions」(1970年)、プロデューサーはウィリー・ヘンダーソン。こちらは世界初CD化ということです。マスタリングは悪くないものの、なんだかアナログ起しっぽい音も聞こえる。

ドン・ウォーカーのアルバムは2枚とも基本編成はピアノ・トリオであり、フェンダー・ローズの音色を生かしたつくりのもの。それでも、セカンドの「Complete Expressions (Vol.2)」がジャズ・ファンク、あるいはフュージョンと呼べそうな内容であるのに対して、このファーストはもっと落ち着いていて、リズムが跳ね気味の曲もファンキーとまではいかない。演奏自体もコンパクトにまとまっていて、ひたすらにメロウな手触りです。
また、収録曲はビートルズのカバー "Dear Prudence" 以外は全てオリジナルですが、これらが甘さを湛えたいいメロディ揃いであります。特に "Inner Face" というスロウが素晴らしく、この曲はセカンドでもタイトルを少し変えて再演していますが、個人的にはファーストでのシンプルな仕上がりのほうが好みです。

ニュー・ソウル時代の洗練を感じさせるイージー・リスニング・ジャズ、というところでしょうか。とにかく、一枚通して凄く気持ちよく流していられるアルバムです。
不満があるとしたら、時間が短すぎることかしら。全体で24分くらいしかないのね。それが物足りなくって、繰り返し聴いちゃう。

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