ちょっと前にホルスト・ヤンコフスキーを聴いた流れで、次に「Snowflakes」というコンピレイションをずっと聴いていました。これは、ジャズ系のレコード会社であった独MPSのカタログ中よりイージーリスニング、ラウンジミュージック的な視点で編まれた二枚組です。内容がとてもよく、今から二十年余り前に出たものだけれど、未だに単体ではリイシューされてない盤からの曲も多く収録されています。
その「Snowflakes」の中で、あれ、こんな良かったけ、となったのがサード・ウェイヴ。昔、ソフトロックが持て囃されていた頃に話題に上っていたグループですが、こじんまりしているし、そこまでのものじゃないな、と思っていて。で、長いこと聴いていなかったのだけれど。
要はがっつりポップスのつもりでなければ良いのでした。
「SNOWFLAKES」、副題は"MOOD MUSIC MASTERPIECES FROM THE MPS ARCHIVES"。 ここから3分の1をピックアップした日本盤もあるよう。 |
サード・ウェイヴは十代の姉妹5人からなるボーカル・グループで、その唯一のアルバム「Here And Now」は1970年のリリース。アレンジはジョージ・デューク、演奏も彼のピアノ・トリオが中心になっています。このアルバムにおいてはベースギターでなく、ウッドベースが使われていることが結構大きいですね。
サウンド全体の質感は硬質というかクール。ブラスが入っていてもミックスにおいてはピアノのほうが強調されています。また、線の細い歌声も強化するような加工はあまりしていないように感じます。
アルバム全体としてはポップスとジャズボーカルの中途を行き来するような印象です。
収録曲では "Niki" がもっともコンテンポラリーなポップスに近いつくり。四分音符を刻む鍵盤など、いかにもサンシャインポップという華やかなアレンジが施されています(それでもベースの存在感が強いですが)。
ふたつあるビートルズ・カバーはちょい凝ったコーラス・アレンジもあって、フリー・デザインを思わせるところも。また、"Don't Ever Go" はアコースティック・ギターを生かしたラウンジ風のスローですが、これなどはA&Mレコード的。
それらの一方で、スキャットのみで歌われる曲や、古いミュージカル曲をフォービートで手堅く仕上げたものもあります。
でもって、個人的なベストは変拍子、スキャットコーラスを絡めた "Waves Lament"。木琴、フルート、ブラスのアレンジいずれも良いのだが、これがポップソングとして優れているのか、というと多分違うのよ。
やっぱりフォー・イージーリスニング・プレジャー、ということですね。もしくはモンド・ミュージック。