2011-07-30
Sammy Davis, Jr. / Lonely Is The Name
喚起させられるイメージはラスベガスの一流ホテルで行なわれているゴージャスなショウ。
フルバンドを従えて観客にも馴染みある曲の数々を小気味良く披露。
我らがスターは荒っぱくシャウトしたかと思えば今度はなめらかに歌い上げ、と余裕綽々であります。いやはや、これはちょっと手に負えない。
サミー・デイヴィス・ジュニアの「Lonely Is The Name」というアルバム、リリースは1968年だが収録曲の制作時期にはばらつきがあり、'66年にレコーディングされたものが半分を占めている。その割には全体を通して違和感が無いのは流石かな。
レーベルはワーナー傘下のリプリーズ。プロデューサーはシナトラ、ディーン・マーティンも手がけたジミー・ボーウェン。'60年代半ば、アウトオブデイトな存在になりつつあったシナトラファミリーに、新たなやり方でもってヒットをもたらした立役者だ。また、アレンジャーの名を見るとH.B.バーナム、アーニー・フリーマン、アル・キャプス、J.J.ジョンソンと有名どころばかりですな。
いかにもポピュラー然としたムーディなスロウと、迫力あるミディアム~アップが交互に並んだこのアルバム、ターゲットは30代の大人のポップスファン、というところだったろうか。
スロウがいいのは当然として、現代のポップスファンからすると、やはりリズムの強調されたポップソングが気になるところ。ドラムブレイク入りの "Up, Up And Away"、R&B的なテイストが熱い "Shake, Shake, Shake"、表現の幅を見せ付けるメドレー "Uptight / You've Got Your Troubles" と実に格好いい。ロジャー・ニコルズの "Don't Take Your Time" も取り上げていて、こちらは若干スクエアな乗りではあるが、ちゃんと自分の色に染め上げている。
男臭さを存分に漂わせながらも、歌いっぷりはとてもしなやか。硬軟自在、まったく大人であることよ。
往年のショウビズ界のスターというのは、しかし華があるな。シンガーにとっては一番大事なことかもね。
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