2013-09-07

Jackie Wilson / Beautiful Day


ジャッキー・ウィルソンは勿論、押しも押されもしない大シンガーであります。ここ日本ではそれほど人気が無いのは、歌声にあまり湿り気や陰りが感じられないせいなのかな。

「Beautiful Day」はブランズウィックから出された1972年のアルバム。
制作はカール・デイヴィスやソニー・サンダースにウィリー・ヘンダーソンと、かのレーベルではお馴染みのスタッフなのだけれど、目を引くのが全曲の作曲クレジットに名を連ねているジェフリー・ペリー。この人自身の音楽性はマーヴィン・ゲイ・フォロワーというところらしく、そのせいかアルバム全体が都会的な甘さを湛えたメロウなものになっています。ベースの動きなどはいかにもニューソウルっぽい。ただ、やはりシカゴ制作なのでサウンド自体はむしろ乾いた仕上がりかな。
そして、そうした新しい音に鼓舞されたように、ジャッキー・ウィルソンの歌唱もここでは若々しく響いています。どの曲をとっても実に気持ちが良さそうだ。

収録曲ではタイトルになっている "Beautiful Day" や "Pretty Little Angel Eyes" の伸びやかさは申し分ないし、"Let's Love Again" はなるほど確かに山下達郎丸かじりといった感じ。少しバーバラ・アクリンの "Am I The Same Girl?" を思わせる "It's All Over" もいいな。
中でも特に気に入ったのは "Because Of You" というミディアム。少し緊張感をもって抑えた出だしから、ウィルソンの「なぜなら俺たちには愛があるのさ」という熱っぽいフレーズで一気に開放されていく瞬間が凄く格好いい。

時代のサウンドの中で、ジャッキー・ウィルソンというスターの持つスケール、それを存分に生かすことに成功していると思います。華やかで明るさに満ちたアルバムです。

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