2014-08-13

平石貴樹「松谷警部と三鷹の石」


都内の住宅街で、フリーのスポーツライターが刺殺体で発見された。そしてまもなく、その別れた彼女も遺書を残して死んでいるのが判明。当初は単純な無理心中と思われた事件だったが、現場には些細であるが腑に落ちない点が。さらに関係者周辺の調べを進めていくうちに、過去に起きた未解決の殺人事件も浮かび上がってきた。


謎解き役に白石イアイ巡査を据えたシリーズの二作目です。作中の時代は2003年というから、前作『松谷警部と目黒の雨』から4年ほど経っていることになります。白石巡査は『~目黒の雨』の事件での功績を認められて所轄署から本庁勤務に抜擢されています。

今回もまずは尋問と証拠の検討が繰り返される、オーソドックスな捜査小説といった風に展開していきます。中盤にさしかかったあたりで意外な事実が判明し、事件の様相が一転。この辺りより、ようやく本格ミステリらしくなってくる。それ以降は少しずつ新事実が判明するとともに、関係者の意外な面も見えていくことで興味を引っ張っていきます。
一方で、前作もそうでありましたが、語り口が凄く淡々としているのね。はったりをかまさないので、なかなか雰囲気が盛り上がってこない。後、決して少なくない容疑者が一向に絞られないまま、終盤近くまで細々としたアリバイ検討が続いていくのは、ちと辛い。

解決編に至って、やたらに錯綜しているように見えた状況がごくシンプルに説き明かされます。ただ、不可解な謎もあって思わず期待してしまうのだが、それが構図の中に綺麗に収まる楽しさはあるものの、(例えばエラリー・クイーンのように)その謎自体を起点にして意外な推理が動くわけではないのだなあ。
むしろ今作はミスリードの組み立てが面白いような。

そういうわけで前作同様、何の新しい要素もありませんし、はっきり言って地味です.。本当にパズル・ストーリーが好きだ、というひとなら楽しめるとは思うのですが。

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